| 板長 |
「これ松葉のジュース」 |
| 女将 |
「松葉のジュース?わぁ、苦そう。(飲んでみる)あれー、でも割合すっきり」 |
| 板長 |
「昔は漢方みたいに飲まれよったんで。喘息の人は松葉かじりよったわ、発作に効くって」 |
| 女将 |
「松葉のジュースは料理に使うんですか?」 |
| 板長 |
「めしに炊く」 |
| 女将 |
「やっぱり緑色になるん?」 |
| 板長 |
「うすーい緑やなあ…ようけ入れたら松ヤニ臭くなるけど、松は適量やったら後味が爽やかなんで。料理の色づけにも使いよった」 |
| 女将 |
「まさに自然色ですね」 |
| 板長 |
「他に松葉は昔タバコにもしよったんで」 |
| 女将 |
「タバコ??」 |
| 板長 |
「タバコの作り方いうたら、松葉水につけてあく抜いて、干して、紙に巻いて作るんじゃ。やけどタバコの葉っぱの方が美味しいけどな(笑)」 |
| 女将 |
「あと大熊さんのおやっさんが作りよったという幻の『松ぼっくり』は?」 |
| 板長 |
「あれは出来ん。教えてくれんと死んでしもた。ワシも若かったけん、そんなん聞かんでもええわあ思いよったけん。『松ぼっくり』を甘もうに炊くんじゃ」 |
| 女将 |
「そのおっしょさんが戦時中、収容された所で教えてもろうたという秘伝でしょ?」 |
| 板長 |
「兵隊仲間でそういうのんよう知っとる人がおったけん。それから、松の花も食べよったで、松花(しょうか)ゆうての。黄色いやつ。松の根っこは『縄』に使う。ものすごい丈夫なんで。戦争中は松根で『松根油』ゆうて取っりょったみたいなで、飛行機飛ばすゆうて」 |
| 女将 |
「飛行機ですか?凄いなぁ…」 |
| 板長 |
「松には根っこに『松露』ゆうキノコが生えるんや。まるーいキノコ。土からちょぼっとしか出てないから普通の人では分からん」 |
| 女将 |
「幻の食材ですねえ…」 |
| 板長 |
「今はほとんど見んのお。ちょうど5〜6月頃や。松の花粉ばっかり集めて、密で練ってお菓子みたいなもんも作りよったし」 |
| 女将 |
「すごいな…いろんな事ができるんですね」 |