日本料理“菊水-きくすい-”
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菊水だより
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菊水だより

菊水だよりとは…
お客様との距離が少しでも縮まればと思い、女将編集のもと「菊水だより」を発刊しています。菊水のメニューが出来上がるまでの厨房秘話や、板長がこっそり教える旬のレシピ、周辺スポットや季節のイベント紹介など、内容も盛りだくさん。
年4回、季節のたよりとともにご来店のお客様などにお渡ししています。
(現在 休止しております・再開致しましたら、
  また ご紹介致しますね )
菊水だより
幻覚の料理屋!?・菊水の現在地

ここはスズメのお宿? いろいろ書いてまいりました「厨房秘話」。今回はこの厨房、というよりお店の場所についてお話させてください。

昭和の終わり、63年に菊水は誕生しました。よくお客様に「ここは前、なんかの建物だったのですか?」という質問をされます。ここは全くのの雑木林だったそうです。
昔を知る人が言いますには、「小さいころに肝試しをしたなぁ〜」との事。昔は今よりもっと、雑木でうっそうとしていたそうです。
女将も当時の事は全く知りません。

最初、ここに「日本料理の店をする!」と社長が言い出した時、周りはほどんど「大反対」だったとか。特に社長の父、以前ご紹介した超働き者のおじいちゃんは、「ここでするんか〜」と、一日に最低(?)20回位は口にしていたそうです。そこは「あまのじゃく」の社長。「こんなにみんなに反対されるんだから、きっといいお店ができる!」と確信。半ば強引に決めてしまったそうです。

社長の論法はこうです。「人が思いつかないということは、お店らしくない店ができる」。その心は、「人目につかない」「静かに食事ができる」「分かりにくいので探す手間で逆に覚えてもらいやすい」…。
なんと勝手な考え方だ!とお怒りにならないで下さいね(笑)。

でもさすがに「静かで落ち着けますね」というお客様のご感想は、本当にたくさん頂戴しました。その点でいいますと社長の目は確かだったようです。

しかし「分かりにくい」に関しては、社長の思惑通りにはいかなかったようで…。何度お叱りを受けた事か…。また社長の「あまのじゃく」により、当初は看板も全く無く、迷われて迷われて、挙句の果てにお帰りになったお客様もいらっしゃるとか…。

そうなると「肝試し」の「○○屋敷」のような「幻覚の料理屋」!?のようになってしまいます(苦笑)。

ともあれこの地で17年目。とにもかくにも、お客様のお陰です。
【2005年早春号より】
うちのパートのおばちゃん・昭和一桁パワー

うちのパートのおばちゃん・昭和一桁パワー うちには一人昭和一桁生まれのNさんというパートのおばちゃんがいます。女将が菊水に入る少しまえからここで働いている、うちではけっこう古株のおばちゃんです。
 
 このNさん、本業は根っからのお百姓さんですが、ただものではありません。こんな人が、今までの「日本」を支えてきたんだなあと、心底実感させてくれる「超働き者」なんです。
 
 ・・・動きが止まらない。ず〜っと働いている。お昼休憩もそこそこに、さてと言って立ち上がるはまた動きが止まらない。そして女将が調子が悪かったり、時間がなかったりするとき、一番助けてくれるのもこのおばちゃんなんです。「私や年もとっとるし、仕事させてもらうだけでありがたいんでえ。親方さんにしっかり奉公せんかったらいかんやろ」
 
  日本には定年制があります。もちろんこのおばちゃんも定年制があるとしたらもうとっくにそのお年。でももったいないですよね、まだまだお元気なのに。こんな人達まだまだたくさん埋もれているんじゃないでしょうか・・・。めちゃくちゃ古臭い言葉ですが「滅私奉公」という言葉を思い起こさせるものが、この年代の人達にはあります。
 
  またお百姓さんで鍛えた精神力にも頭が下がります。
「役にたたんなあとおもたらいつでも遠慮無しにゆうてよ、女将さん」・・・
いえいえNさん、私はあなたからたくさんの事を学ばせて頂いた、いうならば先生ですよ。出来る限り長く菊水にいてくださいね。

【2004年秋号より】
日本の三大魚醤「いかなご醤油パート1」・さぬきの食・昔話。(第一話)

日本の三大魚醤「いかなご醤油パート1」・さぬきの食・昔話。(第一話)昨年の春のこと。社長と料理長大熊さんが並んで大きな「樽」に向かっている姿を発見。「なにしょん?」と女将。「いかなご、漬けよんや。」「いかなご?」「香川県のいかなご醤油っていう魚醤しらんなあ?」と大熊さん。

だいたい「魚醤」という物自体、よくわからない女将。ナンプラーっていうの、あったなあ…と思いつつ、「初めて聞いた」大熊さん曰く、日本の三大魚醤というものがあって、岩手の「しょっる」能登の「いしる」と並び、我が香川の「いかなご醤油」があるんだとのこと。

「なんかしらんけど、日本の三大なんとかってすごいやんか」「もう、ほとんど作る人がおらんのじゃあ…昔は普通の家でもつくっじょったんや」「なにに使うん?」「普通に醤油としてつかっよったんや」「へえ〜」と感心しながら、樽の中をかき混ぜている社長と大熊さんの姿を見ていた…。

 あれから一年。途中、なんどか樽を引っ張り出してごぞごぞ社長や大熊さんがしているのを見ていたが薄情にも、ほとんど女将は忘れていた(苦笑)。
「いかなご」という小魚は、瀬戸内海で一般的に、取れる魚。兵庫などでは「釘煮」などにしてよく食されています。醤油も、今はほとんど「大豆」で作られるものが一般的ですが、日本でも昔は、「魚醤」が各地で作られていたそうです。

さて一年後、出来栄えはいかに??(つづく)
【2004年新緑号より】
瓜の奈良漬・おじいちゃんの塩梅。

瓜の奈良漬・おじいちゃんの塩梅。「べんせい〜しゅくしゅく〜」。歌詞があってるかどうかは問わないでください。詩吟の歌声です。
 季節外れではありますが夏の菊水の作業場。通称「前の仕事場」から毎日のように聞こえてくるこの声の持ち主は社長のお父さん。大正15年生まれのおじいちゃん。

 「味がもうこれでええというまでには、何年もかかったはずや」と社長談。そんな苦労話もすることも無く、ただ淡々と瓜に包丁を入れ、種を取る作業から一人でこなし、毎年何樽もの瓜の奈良漬を作っていきます。そんな作業の合間、鼻歌交じりに、おばあちゃんと長年習っている詩吟の歌声が聞こえてきます。

 一つ一つが本当に手作業。その味加減は、キャリアの有る板前さんでも分からないおじいちゃんだけの塩梅。酒粕の中にきちんと整列している瓜達に、おじいちゃんの人柄が伺えます。

 そんなおじいちゃんが、今年は偶然のアクシデントで大怪我。瓜達を残しての入院。奈良漬を漬けない夏は、ここのところ随分無かっただろうと思います。最低一年は寝かせ、全て冷蔵庫保存、その為か奈良漬特有の濃い色も有りません。

 菊水の夏の風物詩。ステテコ姿で、詩吟を吟じながら瓜を漬けているおじいちゃんの後姿。来年は元気で、一杯美味しい奈良漬、漬けてくださいね。
※追伸: この奈良漬は「道の駅 長尾」でも販売しております。お気軽にご利用くださいね。勿論お店でもお分けできます。ご飯がすすみますよ。
【2003年秋号より】
のんこばあちゃんのちらし寿し・東讃の懐かしい味。

のんこばあちゃんのちらし寿し・東讃の懐かしい味。 「ちらしの酢、合わさないかん。ばあちゃんじゃ。」社長のお父さんで御年78歳。若いもん顔負けの働き者おじいちゃんがつぶやきます。「東讃のすしは甘いんや」。社長は言います。「何で?」自分も東讃出身のくせに何にも知らない女将。

 「東讃はな、昔から砂糖の産地や、和三盆とかあるやろ」。理由になっているかどうかわかりまんが、妙に納得の女将。「ああ、そうか〜。やけど私、すし酢をかけたてで、なんかテカってるすし飯好きや〜。そうや、甘いよね、アレ。」

菊水が開業して15年。社長が「東讃流菊水すし酢」を決め、今もその味で変わっていません。そして菊水の「ご飯物」担当は、赤飯はおじいちゃん、お寿司類はおばあちゃんとなっております。おばあちゃんが仕事に取り組む姿勢はまさに職人。

 「仕事っちゃおもしろいなあ。おんなじ事何回やっても、いっつも違うような気がするわ。」酢を合わせる鍋もすしの量によって変える、ちらしの具は、すし飯が見えなくなるように乗せる。具は6種類。すべて頑固に守っております。律儀なおばあちゃんのすし飯は、いつも同じ、昔懐かしい味がします。

 「ちらし、つけといてね」。毎回有る、常連のお客様のリクエスト。「ああ、このお客さん、ちらしがいるわな」。ひそかに職人顔になっていくおばあちゃんなのです。
【2003年初夏号より】
なまこの奈良漬・これはなんですか…ナマコ?

なまこの奈良漬・これはなんですか…ナマコ? 「あのお、これなんですか??なまこ・・・やね?」たぶん聞かれるであろうこの料理に、あえて事前の説明をしない女将。それには理由があります。厨房で「これなんですかって聞かれたよ」と、わざわざ社長に報告するためだとしたら、お客様はお叱りになるでしょうか?

「よしよし、ワタクシがご説明をしましょう。」社長は得意満面。女将はまたかと思いつつ、「仕方ないなあ」という表情。そのまま帰られるお客さんもいらっしゃいますが、たまたま帰り際、社長と顔を合わせたお客様は、こんな台詞を聞かれたと思います。

「あれはですねえ、お祈りをするんですよ、3時間位。なまこの前で。そうしたら、あんなにやわらかくなるんですよ。」いったい何回、嬉しそうな「おいのり」の言葉を聞いたか…。お客様の中には、こんな社長の冗談を目一杯笑って下さる方もいれば、お顔の引きつった方もいます。

 なまこの奈良漬を、菊水の珍味としてお出しして十数年。偶然の賜物ではありますが、「魚介の奈良漬」として親しまれています。作り方は?。「お祈りするんです!3時間!!」。社長は秘密みたいです。
【2003年冬号より】
蓮の葉の佃煮・こんなの見たことない。でも案外…。

蓮の葉の佃煮・こんなの見たことない。でも案外…。 「わしゃ、こんなん見たことないぞぉ〜」。ある種の悲鳴にも似た叫び声から生まれるドラマが、菊水の厨房には山ほど転がってます。紹介が遅れましたが、先ほどのセリフの主は、板さん暦40年のベテラン大熊さん。うちの社長のおっしょさんで、ホテルの料理長を退職し、今はアドバイザー的に時々手伝ってもらってます。根はいい人なんだけど、口は人一倍(?)悪い。

 この大熊さんと社長、そして女将の三人は、いつも料理をめぐって喧々諤々の論争を巻き起こします。今回、主役の座を射止めたのは「蓮の葉」でした。
そもそも女将が蓮の葉を料理の器として使いたいと言い出したのが話の発端。「農家の人に嫌がられたみたいよ」。寒川町で山野草の店をやっている知り合いに無理矢理頼んで、徳島から40枚送ってもらったという、いわく付の代物は、届いてみたら思ったより大きかった。器として使える大きさに包丁を入れたらかなり捨てる部分が多い。

「ほんだってもったいないやんか。無理して採ってもらったのに、なんか使えんの?」。社長が「佃煮にしてみよか」とポツリ。「根が食べれるんは葉も食べれるぞ」と大熊さん。「作って、作って」試食係の女将は能天気にたたみ掛けます。

 ノリのいい社長がすぐさま葉を刻みだし、試行錯誤の結果、「葉が硬くて、思ったより時間がかかったけど、少し苦味があっておいしいやんか」。その横で苦笑いする大熊さんの口から珍しくこんなお言葉が…。「案外、うまいこといったの」。
【2002年秋号より】
 


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